ああ隔離病棟

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     随分前の事になるが 結核を患い3ヶ月程 隔離病棟に入院した。

     その頃は心身共に疲弊しており、身体のなかの免疫力が相当弱まっていたと思われる。

     結核の菌は殆どの人の体内にひそんでいて 不摂生 ストレス 過労などの要因によって免疫力が弱まると眠っていた菌が身体のなかで暴れだすのだ。

     ある秋の金曜日。

     仕事中胸が苦しくなり救急車で運ばれた。

     レントゲンとタンの検査を行い、結核と診断された。

     その瞬間 廻りにいた看護婦が一人もいなくなった(笑)。

     別室に連れていかれ三時間ほど待機させられた。

     不安で不安で仕方無い時間であった。

     本来ならそこから結核専門の病院に直行で入院するはずなのだが 受け入れ先に準備が整ってないらしく 薬とマスクを渡された。

     次の日の土日はFLIP OUT名古屋ツアー2DAYSが決まっていたのだがキャンセルせざるを得なかった。

     他にも呼ばれていた企画全てキャンセル。

     仕事にも穴をあけ随分廻りに迷惑をかけた。

     家に帰り入院の支度をした。

     ウォークマンを持っていこうか迷ったが そんな気分にはなれなかった。

     とにかく これからの人生がどうなってしまうのだろうと言う不安で一杯だった。

     病院は清瀬市国立東京病院。

     清瀬市は結核治療のメッカと呼ばれており、多数の結核の病院がある。

     その病院の最上階が 丸々隔離病棟であった。

     そこに百人余りの患者が入院している。

     隔離病棟と聞くと非常に暗く閉じ込められた感じをイメージしていたが非常に明るく清潔な印象で安心した。

     日当たりのいい食堂があり そこで三食ごはんを食べる。

     ごはんの量が以上に少ない。

     これは普段の量の三分の一だ。

     しかも病院食だけに味が薄い。

     腹が減って寝れない日々が続いた。

     食事の号令がかかると速攻で食堂に走った。

     とにかく腹が減った。

     治療は薬を飲むだけ あとは時間をいかに潰すかだった。

     朝一の楽しみはその食堂からみる朝日。

     毎朝 日の出を見ながらコーヒーを飲むのが優雅なひとときを感じさせた。

     そして廊下の西端の窓から見える富士山。

     雪が被り美しかった。

     家族から食料や漫画を送ってもらった。

     缶詰やカップラーメン、お菓子。

     これが本気で美味く感じられるのである。

     シャバにいたら絶対に理解できない感動である。
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