(続編)東南アジアツアー10日目その2

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    タリンバビで、暫くのんびり過ごし、午後三時頃か?
    タリンバビを出発。
    バイクや車が排気ガスをバンバン噴き出しながら、続々と走る表通りに出て、8人乗りの、それはいうなればバスとタクシーの中間の様な乗り物に乗り、最寄りの駅へ。
    駅は日本で言えば、田舎に良くある改札しかない駅みたいだ。
    電車がホームに到着。
    車内に入ると、何とも懐かしい感じ。
    これは明らかに日本のおさがりの電車だ。
    天井に扇風機が付いている懐かしいヤツだ。
    何駅か通過し、目的の駅で降りた。
    ライブハウス マスベルトは駅から程近かった。

    個人的に一つ やっかいな問題があった。

    財布の中を見れば、この時すでに、インドネシアの通貨であるルピアが底を尽きていた。
    入国の際に取られたビザ代が想定外であった。
    財布の中には、日本円札の1万円のみ。
    家にキャッシュカードを置いて来たので、この万札は決して使いたくは なかった。
    しかし、背に腹は変えられぬ。
    両替しなければ、もう何も買えなくなってしまう。
    タリンバビの近くには両替所があるわけ無い。

    両替するならこの街でやらねばと、心の中で一人 焦っていた。

    ココらの地理に明るいアユミさんに、何処か両替できる所が無いか?と聞いたら、暫く歩いた所にショッピングセンターがあり、その中にならある、もしくは超高級ホテルにならあるよと言われ、意を決して、一人、ショッピングセンター目指して歩いた。
    デカい国道沿いの様な道を20分ほど歩いたか?
    ショッピングセンターらしきものは一向に見つからず、結構な距離を歩き、マスベルトからは相当離れて、究極に心細くなって来た。
    周りにはホテルが沢山あったが、どのホテルもチープなホテルで両替は出来ず、しょんぼりマスベルトに戻った。

    が、戻ってスグに、俺の目の前に救世主が現れた。

    マニラ直樹である。

    直樹も金が尽きていて、もし俺が両替出来たら、金を貸すよと言ったら、喜んでついてきた。

    一人が二人になると、相当心強い。
    両替所を探しに再度挑戦。
    さっき引き返した地点を過ぎ、更に未知なる街を突き進んだ。
    次第に街並みはビルが増えてきて、ここは銀座か?日本橋か?って位の都会の風景に変わった。
    しかし通りには、半端ない数の貧しそうな人々がタバコのバラ売りをしていたり、あてどもなく路上にタムロっていて、このインドネシアという国の、あまりに歴然とした貧富の差をまざまざと見せつけられた。

    そしてついにショッピングセンタを発見。
    英語が出来る直樹が隣にいると相当心強い。
    彼は昔、通訳の仕事をしていて、あのエミネムが来日した時の通訳も担当した男なのである。
    両替所に入り、1万円をルピアに両替。
    三千円分を直樹に貸す。
    晴れやかな気分で外に出て、早速コンビニでお買い物。
    たらふく食って、マスベルトに戻った。
    マスベルトに戻ると、メンバーが誰一人居ない。
    日本からお客さんでココまでやって来たツワモノ姐さんの「お京さん」に聞いたところ、みんな何処かへ飯を食いに行ったとの事。
    もう会場はオープンしていて、マージナルのマイクとボブがステージに上がり、彼らのアコースティックユニットである「MAJIK」がスタート。
    まだ客もまばらで、これはVIPな気分。

    今日のライブは、このハコの、こけら落としライブという事で、パンクなメンツだけで固めるのでは無く、より幅の広い客層にアピールする事を目的にした企画らしく、様々なジャンルのバンドが出るとアユミさんから前々から聞かされていた。

    二番目には、何と、レゲエバンド。
    メンバー3人が長いドレッド。
    マージナルのパーカッションもメンバー。
    スゲー演奏が上手くて、これは本物のレゲエだと思いました。
    やっぱレゲエやるなら、この域まで行くべきだよな〜と思わされた。
    ボブマーリーのIS THIS LOVEのカバーをやられた瞬間にはマジで鳥肌が立ちました。

    次は何と、ビートルズのカバーバンド。
    しかも、中学生位の女の子3ピース。
    ドラムなんて小学生じゃないの?なんて思っちゃいました(笑)
    とにかく可愛い。
    めちゃ若いのに、後期のビートルズをカバーしているトコが最高シンパシー。

    実は、ロケットの弦楽器隊が、ビートルズの大ファンであった事が判明。
    フリップアウトの弦楽器隊もビートルズ
    の大ファン。
    そんでワタクシも言わずもがな、大大ファンでありますので、この5人でビートルズ愛好同盟が出来たという事は言うまでもありません。
    その5人が、こんな可愛いビートルズカバーバンドを観せられて、踊らない筈ありませんよね!

    客席も大合唱、大盛り上がりで、もう彼女達、バンドが楽し過ぎて、一生やめれないだろうなって思っちゃいましたね(笑)

    そして待ってましたマージナル。
    ドラムレスで打楽器はパーカッションのみという形態でしたが、何のその。
    もうダイビング、モッシュの嵐で、やはり、本国でも大人気のバンドなのだな〜と実感しました。
    いつもニコニコ笑ってるマイクが、歌ってる時は真剣そのものの表情で、ハートをくすぐられますね、やっぱ。

    そしてフリップアウト。
    昨日までは、突撃モードのワタクシでしたが、マージナルを観ていて、教わるものがあった。
    大切な事。
    そんな影響を感じつつ叩いたら、凄く盛り上がって、終わった後も、すこぶる評判良くって、あ〜そうか、これなんだなと掴めた気がしました。

    トリはロケット。
    この日が一番良かった。
    優しい曲を聴いている時に、あ〜遂にこのツアーも終わりかと切ない気持ちがオーバーラップして感動。
    マージナルのカバーで さらに感動。
    ロケットの素晴らしきステージでこのツアーは幕を閉じた。

    ライブ後、何故だか?ディスチャージのTシャツを着た一人の青年パンクスが俺に食いついて来て、やたら興奮している。

    「お前のドラムは凄い!ベリークレイジーだ!」と繰り返し 繰り返し言われ…。

    「ほら!お前のライブ写真撮ったぞ!」
    と何度も何度も見せられ…。

    数え切れない程、握手し、もう、イヤって程ハグしたのに…、

    離してくれない…。

    俺の心の中の言葉、


    「ビートルズのカバーバンドの娘達と喋りたい……。」


    しかし彼は決して、俺を解放してはくれなかった。

    しまいには、思いっきり抱きついて来て、俺の肩に顔を当てがい、オンオンと号泣し出した。

    全く意味がわからない…。

    しかも、なかなか泣き止まない。

    むげに身体を離すのも、気まずい雰囲気になりそうだし…。

    俺は心の中で思った。


    「これが可愛い女の子だったらな〜何時間でも耐えてみせるんだけどな〜」


    会場内はみんな楽しそうにしている。

    俺は、号泣する男に抱きつかれ、なすすべも無く…。




    「も〜 こっちが泣きて〜よ〜!」(笑)


    結局、何とかなだめて、落ち着かせ、トイレに行くよと言って、逃げる様に離れた。

    会場にはパンクの曲が大音量で流れていて、ステージ上には、誰かしらが、マイクを掴んで歌い、まるでカラオケ状態になっている。
    それがいつまで経っても終わらない。
    何曲も何曲も。
    しまいには盛り上がっているのは歌ってる奴らだけという状態に。

    その中の一人がマニラ直樹。

    インドネシアのパンクスに混じって延々、踊り狂っている。

    ついにミスフィッツがかかり、マニラ直樹がマイクを奪い、歌い始めた。

    その瞬間、俺の中の素晴らしきミスフィッツのイメージが、ガタガタに崩れ、ボーカルのグレン ダンジグに土下座したい気分になった。(笑)

    そんなこんなで、完全撤収は深夜。

    何故だか、ツアーバンドの俺たちが、ハコの掃除し始めてるし…。

    感謝の気持ちからか?

    早くねぐらへ帰りたかったからか?

    どちらとも言えるであろう…。

    タクシーに分乗し、タリンバビの近所で降りる。

    24時間態勢のメシ屋でみんなで夕食。

    ラーメンを頼んだら、なんとインスタントラーメンを茹でているではないか?(笑)

    更にオレンジジュースを頼んだら、なんと

    、粉を水で溶かしたジュース。

    駄菓子屋かっつ〜の!

    その後、ロケットたつやと向かいのコンビニに二人で入ったら、店員の若者に一緒に写真撮ろう、とせがまれ、写真撮られた。

    しかも店員二人分。

    つくづく、あまりの文化の違いに、驚きの連続の毎日である。

    一年位住んだら慣れるのであろうか?

    こちらに慣れたら、今度は日本に馴染めなくなるのでは なかろうか?

    などと、とりとめもない事を考えつつ、タリンバビに戻り、またタトゥースタジオで就寝。

    10日目終了。






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