車に乗り、国道を運転中だった。
運転中なのはいいが、何故だか?自分の乗る車、畳一畳分程の板の様な形をしていて、その板にタイヤとハンドルがついた、とても乗用車とは呼べぬ乗り物で、果たして?こんな乗り物で公道を走っていいものやら?
まぁ幸運にも他に車も走ってないみたいだし大丈夫かもな?と走り続ける。
しかし、この車、車高が以上に低く、50cmも無い。
ほとんど、布団の上で寝ているような体勢で運転している。
大型トラックなんかが後ろからやって来たら、あまりの車高の低さに存在に気づかれずに踏み潰されてイチコロだべな、などと怯えつつ走り続け、ようやく目的地に。
そこはホームセンターばりに大きな建物で、音楽関係のあらゆる要素が盛り込まれた様な施設だった。
入り口を入るとオーディオのエリア。
いかにも高級そうな品揃えで、一点、数百万円という一般庶民などまるでお呼びでない店っぽかったのでスルー。
次はレコードやCDを売るエリア。
自分自身、手に入れたい音源はほぼ手に入れているので、ここもスルー。
次はカラオケのブースが見えて来た。
一人で来ているハズなのに、何故だか?突然、女友達が背後に現れたので「久々にカラオケ行くかー!?」とウキウキな気分になった瞬間、また場面が一転。
最後はコンサート会場のロビーに入った。
ロビーなのに何故か?
同じ様な格好をした若者が100人以上、ズラリ並べられた机に各々乱れた姿勢で座っている。
どいつもこいつもリーゼント、唇を歪ませ、眉毛をハの字になる程に顔を強張らし、皆、同じ様な表情でポーズをとっている。
なんとそれは100人を超す
「矢沢永吉」の集団だった。
正確に言えば「矢沢永吉もどき」の集団。
矢沢永吉のコンサートに集まって来た矢沢永吉ファンの大集団だった。
その大集団の中、一人だけ違うルックスの自分、机と机の間をすり抜けながら、彼らの顔という顔を眺めたが、こりゃ〜まるで矢沢永吉のクローン人間量産工場の様やなと。
よくぞここまで完璧にコピー出来たものだと、その点では感心しつつも、突っ込みを入れたい気持ちの方が勝ってきた。
お前らには「自分」つぅーモノがないのか?と。
オリジナリティーっつぅモンがねぇのか?と。
いくら矢沢永吉に成り切ったつもりでも、しょせんは似せ者、本物の矢沢永吉には成れないんだよ。
成りあがれないんだよ、そんなんじゃ〜。
本当の自分自身で勝負しろや。
などと、その様な気持ちが心の中で噴出した所で目が覚めた。
80年代、原宿の竹下通りを歩いた折にストリートスライダーズのハリーもどきを沢山発見した時を思い出した。
まぁ、好き過ぎて、愛し過ぎて、真似したくなる気持ちもわかるんだけどね(笑)
おしまい。